慈愛のケモノ

瞳を覗かれる。いや、遠月さんの顔の方が百億倍綺麗だ。それに白目を褒められるって、よくわかんない。

輪郭をなぞっていた手が、耳に触れて首筋に落ちていく。
首、締められたらどうしよう。明日、仕事にいけない。

首からすぐに離れて、肩から腕におりる。

脇の下に手を入れられて、ぶらーんと持ち上げられた。小さく悲鳴を上げて、シューズボックスの上に乗せられる。

足首を掴まれて、パンプスを脱がされた。

遠月さんの一挙一動が優しくて、なんか申し訳なくなる。

再度持ち上げられて、家に上げられた。
薄暗い部屋の中、座らされたのはソファー……ではなくベッド。

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