慈愛のケモノ

「と、おつきさん」
「うん?」
「あの、私、真希にメッセージ送りたい、です」
「え、なんて? 俺と付き合うことになったって?」
「いえ、遺言を……」
「遺言。小さな死とかけてる?」
「死ぬことに大きさ関係あります?」

二人して顔を見合わせる。何の話をしていたんだっけ、と思いながらとりあえず携帯を取り出した。

遠月さんは何も言わず、私の隣で膝を抱いて大きな背中を小さくしていた。

それからじっとこちらを窺っている、気配がする。

真希に『いつもありがとう、真希の話を聞くの楽しかったよ』と送った。

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