慈愛のケモノ
小さくなった格好のまま、遠月さんは話し続ける。
「ちゃんとデート挟んで持ち帰ったから」
持ち帰っている自覚はあるらしい。
でも不思議と、ランチをしている時よりずっと心が穏やかに話せている。どうしてだろう。
あのとき、遠月さんは真希のことが気になっていると、思っていたからだろうか。
それとも、『誰にも愛されない』自分が、誰かに好きだと言われて安堵しているからか。
「真希と並んだ私を可愛いなんて言うの、遠月さんくらいです」
「琉花ちゃんが他に取られるくらいなら、俺の価値観は誰にも理解されなくて良い」
遠月さんが笑った。