慈愛のケモノ
画面から顔を上げると、遠月さんは目を瞑っていた。
「私の、どこが好きなんですか?」
眠っているのか分からない姿に尋ねてみる。これから死ぬのなら、それくらい知っておいても良いだろう。
「どこ……? 一目惚れだったから、どことかないな」
「一目惚れ……?」
「そ。水本が話しかけて、あの子と琉花ちゃんが振り向いたじゃん?」
ナンパされたときの話だ。
一ヶ月も前じゃない話。
「可愛くってさ、家持って帰りたいって思ったよね」
「家に」
「分別あるからそんなことしなかったけど」
この状況のどこに分別が。