慈愛のケモノ
「企画開発って何するの?」
ふと正面から質問がきて顔を上げる。隣の真希は水本さんと話していて、そっちに入れば良いのに、と思ってしまう。
「新しい商品考えたり、長年ある商品をどう売り出すか話し合ったり」
「すごいな、一年目からそこ?」
「はい」
「ホープじゃん」
「長くいられるだけで、本当にそんなことはないんです。真希も一年目から広報だよ、ね?」
話を二人の元に無理やり戻した。
真希がこちらを向いて「そう! 激動の時代すぎて同期があたしたち二人しか残ってませーん!」と笑う。
「え、そうなの?」
「色々ありまして」