慈愛のケモノ

死ぬ覚悟で、証拠を突きつけたのだった。

それは上まで上がって、消し飛ばされるかと思ったけれど、社長まで話がいったらしい。

先輩は数日後、地方へと飛ばされた。
謝罪の手紙が届いたけれど、もう同期は帰ってこない。

……私も大概、変な人間なのかも。

「あんまり、無茶しないでね」
「うん、ありがとう」

給湯室を出ると、始業ぎりぎりだった。

二人して慌ててフロアに入る。

部長からの視線を感じながら、目配せを送る。
可愛くあの子は笑った。






慈愛のケモノ END.
2020414


< 66 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop