慈愛のケモノ

嘘だ。あの時、私は死ぬ覚悟をしていた。
何にも抗うことなく。
遠月さんになら、殺されても良いと思っていたのかも。

「琉花、変なとこで度胸あるから」
「え、そうかな……?」
「そうだよ。同期がアノ先輩のパワハラでぼろぼろ辞めてった後、アノ先輩を訴える証拠集めたじゃない」

職場の同期は真希しかいないのは、先輩に酷いパワハラをするひとが居たから。
皆その被害に遭って、辞めていった。

真希だけは可愛がられていたけれど、その状況に一番怯えて、一番同期から嫌厭されていた。
それを見て、腹が立って。

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