仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「俺は三月で三十五歳だから、やっぱりひと回りか」
顎を手で擦りながら目を少し見開く隼に「同じ干支ですね」と返す。
「すみません、私のような者がデートの相手で。せめてもっと大人の女性の方がよかったですよね」
ひと回りも年下の優莉では子ども同然。優莉が美人ならともかく〝ザ・平均〟と書かれた顔立ちと体型では話にならないだろう。
「キミこそひと回りも年上はごめんだろう」
「ピンとはこないです」
正直に答える。優莉にしても、そこまで年上の男性との恋愛は想像もつかない。そもそも恋愛すら経験のないお子様だ。
「ところで社長は、ここのサンドをよく食べに来られるんですか?」
それこそ場所柄、デートでよくここへ来るのかもしれない。今のような企画のデートではなく本物のデートで。
「まあね」