仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
わざわざ入園料を払ってまで食べるのだからよほどだろう。
「以前は街中に出店していたんだけど、昨年の秋からこっちに移動したって聞いて」
これだけ飽食の時代。普通の人なら店がなくなればそこで終わりだろうに。それをここまで追いかけるのだから、隼の食への探求心は並々ならぬものなのかもしれない。
「なにか飲み物を買ってきますね」
食べ終わったサンドのゴミを折りたたみ、隼が手にしていた袋に入れて立ち上がる。
「じゃ、これで買っておいで」
隼が財布を差し出してきたが、断固として拒絶した。
「飲み物くらい私にごちそうさせてください」
バッグを持って自販機へ走る。好みを聞きそびれたと思い出したのは、ずらっと並んだ飲み物を前にしたときだった。
「寒いからあったかいお茶でいいかな」