仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
優莉は心底感心しているのに隼は不満らしい。梅干しでも食べたような渋そうな顔で優莉を横から見下ろす。
居心地の悪さを回避しようと、抱えていたペットボトルを肩から提げていたバッグにいったん入れた。
「とことん俺には興味がないみたいだな」
「さっきも言いましたけど、興味がないというか生きている世界が違うんです」
「世代?」
「世代じゃなく、世界です」
せ・か・いとはっきり発音する。どうやらひと回りの年の差が引っかかるようだ。
優莉が訂正しても納得がいかない様子で、隼は「ふうん」と言った。
機嫌を損ねるようなことは言ってないのになんだろうか。どちらかといえば褒めたのだけれど。
「つくづくだな」
「はい?」
「いや、なんでもない」
首を傾げながら歩いていると、なぜかゲートとは違う方向に足が向いている。
「どこへ行くんですか?」
「せっかくここまで来たんだからデートらしいことをしておこう」