コピーキャット〜Aの電子音〜
「まりさん、元気ないわね。」

「いえ...。」

「まあ、仕方ないわ。
あの2人は、ちょっと特別なのよ。」

「なるほど...。」

「今までまともに出逢ってなかったのが不思議なくらいだわ。
あの2人は、とても貴重なセンス...
分かりやすくいうと、才能があるのよ。
それは、誰もが認めざるを得ないものだと思うの。」

「はい。」

「たとえ、最強の人工知能をもってしてもね。
あの2人に叶うものが作れるかしら。」

...。

分からない。

でも、あれは常人が成し得る技ではないことは確かだ。

「ここのところめざましいシステム化、デジタル化にとって、あの2人は邪魔でしょうね。」

「邪魔?
どうして。」

「全てがデータで統括されるような場所では、巧妙で複雑すぎる事象なんて、必要ないの。効率が悪いじゃない。」

「でも、向上することって必要じゃないですか。
僕にしてみれば、素晴らしいアーティストが増えることは嬉しいことですよ。」

「ええ。そうね。
きっと、コピーキャットも、
まりさんと同じふうに考えてるわ。」

「え...?」

「素晴らしい音楽を誰の手にも簡単に。
それが彼女のモットー。」

「...。」

「だからこそ。
彼女を超える才能があってはいけないの。
そろそろ、彼女は動き出すはずよ。」

「彼女...?」

「ええ。
私たちが開発に関与してた人工知能にはモデルがいるのよ。
実際の女の子の思考をベースにしてるの。
あの子も実際はかなでたちと同じような、とても才能がある子だった。」

「...。」

「少し話すぎてしまったわね。
詳しくはまた今度話すわ。
今日も、いつもの、はじめましょう。」

「...はい。」
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