強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「そ、そんな、八雲さんは何も悪くないじゃないですか。謝るなんて、八雲さんらしくないです」

「俺だって悪いことをしたら謝る。そこまで傲慢じゃないぞ、俺は」

「はい。タクシーの中でのことは、愛のムチ?だと思って明日頑張りますから、見ててください」

「ああ、期待してる。なあ芳奈」

「はい」

「腕……」
 
腕? 火傷をした腕のことを言っているのかと、左腕を前に出す。八雲さんは包帯が巻かれた腕をそっとなぞり、愛しむように顔を寄せた。

「まだ痛むか?」

「ほんの少し。でも八雲さんが手当をしてくれたから、痛みなんてすぐに消えます」
 
お酒が入ったせいか、八雲さんの表情が少し甘いものへと変化し始めている。さっきのようなスキンシップも多くなって、このままででは私の方が溶けてしまう。

勝負は明日。本当はもう少しこのまま、八雲さんとの時間を楽しみたいところだけれど。寝不足、二日酔いの顔で、煌月さんのところに出向くのはよくないと、モスコミュールを一杯だけでやめておいた。

「八雲さん。明日も仕事ですし、そろそろ部屋に戻りませんか?」

「そうだな」
 
珍しく素直に言うことを聞く八雲さんに苦笑しながら、また手を繋いで部屋へと戻った。




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