強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~

その日の夜。
 
今夜はホテルの部屋で祝おうと、四星デパート名古屋店のデパ地下で惣菜とワインを購入。それを小さいテーブルいっぱいに広げて、赤ワインをグラスに注ぐ。

「八雲さん、今回は本当にお世話になりました。きっとあなたがいなかったら、私は一日目で挫けて帰っていたと思います」

「まあ、そうだろうな。ただ、轟の気持ちを動かしたのは芳奈の企画書だ。俺は助言しただけにすぎない」
 
八雲さんは赤ワインが注がれたグラスをふたつ持ち、そのひとつを私に差し出す。私がグラスを受け取ると、表情を柔らかいものに変えた。

「とにかく良かった。これでクリキの未来は安泰だ」

「それはちょっと大袈裟ですね」

「ふっ、だな。でも……」
 
突然、八雲さんは目を細め、妖しい視線を私に向ける。何事と身構えると、スッと顔を近づけた。

「俺たちの未来は安泰そうだ。乾杯」
 
そう甘く囁いた八雲さんが、軽く唇を重ねる。チュッと名残惜しげに離すと、私のグラスに自分のグラスを会わせる。カチンと透き通った音が響き、部屋中をさまよった。


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