強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
周りを見渡せば、確かにこっちを見ている人はいないけれど。ギュッと抱きしめられているこの体勢は、家の中の何倍も恥ずかしい。
 
八雲さんの首元に顔を埋め、羞恥心にじっと耐える。

「芳奈、それ可愛すぎ。我慢できなくなって、途中で襲ったらごめんね」

「だ、ダメですよ! そういうことは家に戻ってからじゃないと……あ、今のは忘れてください」
 
八雲さんのペースに引き込まれて、私ったら何を言っちゃってるの。

「だから、芳奈の言うことは何ひとつ忘れない。ということで、そういうことは今日マンションに戻ってからのお楽しみということで」
 
私の許可なく唇を重ね、チュッとわざと音を立てそれを離した。名残惜しそう目が、私を捉える。

「B&Rで利用価値があると思ったのは本当のことだが、でも芳奈じゃなければそうは思わなかった」
 
八雲さんは私の髪を掬い、愛おしむように唇を寄せた。その手を耳元に運ぶと、イタズラに耳朶を弄ぶ。指先のくすぐったさに肩をすぼめる。


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