強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「一目惚れだった」

「え?」

「俺はあの店には、ひとりで飲むために行っている。だからこっちから女に声を掛けることはしなかったし、女から声を掛けられても相手にすることもなかった。でもあの日は違った」
 
耳朶から頬に移動した手は、摘んだり撫でたりと、私の頬の感触を楽しんでいる。

「頬を上気させて飲んでいる横顔は、俺の心を捉えて離さなかった。時々聞こえてくる言葉に何か訳ありだろうと思ったが、何故か放っとけなかった」
 
頬を撫でながら、でも親指は私の下唇を見つけ、それを容赦なく擦りつけた。

「声を掛けてからはもう気持ちを止めることができなくなって、何が何でも自分のものにしたいと今までの俺では考えられない行動にでてしまった」

「お持ち帰り?」

「まあ結局、何もできなかったけどな。来ていた服を脱ぎだした時は、さすがに自分を抑えるのに必死だったよ」
 
その時のことを思い出しているのか、眉根を寄せて困った顔をしてみせた。


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