今日、魔法使いに飼われました
「……それにしても、ここはどこなんだろう」

檻には布がかぶせられており、どこに連れ去られたのかわからない。ただ遠くから歓声のような声が聞こえてくる。

「私、何でこんなところに……」

背後から襲われて誘拐わけではなく、まるでマジックのような方法で捕われてしまった。不思議でたまらず、美砂は檻の外に出ようとするが鍵がかけられており、当然出ることはできない。

どれほど時間が経ったのか、コツコツと檻に誰かが近づいてきた。バサリと布が剥ぎ取られ、美砂は「ひっ!」と悲鳴を上げる。美砂の目の前にいたのは、黒いフードをかぶった死神らしき人物だった。骸骨の顔をしており、大きな鎌を持っている。

「お前の番だ。行くぞ」

死神がそう言い、檻の鍵を開ける。そして恐怖で動けなくなっている美砂の腕を掴んで無理やり立ち上がらせた。そのまま美砂は死神に連れて行かれる。

暗い廊下らしき場所は、美砂の見覚えのない場所だった。死神の骨張った手が腕を食い込み、美砂は痛みに顔をしかめる。痛みと恐怖から涙がこぼれたが,死神が足を止めることはなかった。
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