偽りのキス
キーンコーンカーンコーン…
5限が終わった
手が離れて蒼汰が起き上がった
ねぇ、蒼汰
さっきの、なに?
聞けなかった
蒼汰も何も言わなかった
「…明日も来るの?」
私は起き上がらないで蒼汰の後ろ姿に聞いた
「うん…だいたい晴れてる日は来る」
そう言って蒼汰は立ち上がった
振り返った蒼汰は
いつもの蒼汰だった
まだ起き上がれてない私の手を引っ張ってくれた
また手が繋がれた
「あ、ありがと…」
「6限、オレ移動教室だから先行くわ!」
蒼汰はそのまま走って行った