俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　書道教室に通う小学生たちが学校を終えてやってきたのだ。

「こんにちは。脱いだ靴は揃えてくださいね」

　日本の伝統である書道を教える先生として、子供相手にもきちんとした言葉遣いをするように心がけている。

　声をかけると、生徒たちは「はぁい」と返事をして自分の靴を綺麗にそろえた。

　玄関を入るとすぐ脇にある六畳二間続きの和室。
　その襖を取り払い、座卓の高さの長机を並べて書道教室として使っている。



　にぎやかだった小学生たちも、正座をして筆を持つと自然と背筋が伸び口数が少なくなる。
　和室の中は墨汁の香りと筆が半紙の上を走る音で満たされる。その緊張感が心地いい。

　書道は自分自身と向き合う時間だ。
　ペーパーレス化が進むこの時代。文字を書く機会は減る一方だけど、書道は字を書くだけではなく正しい姿勢や礼儀も学べる素敵な文化だと思う。