俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 一見和やかに見えるけれど、ふたりの視線に一瞬ぴりっと緊張が走ったような気がした。







 家に帰り昼食を食べ終えた私は、縁側に座りぼんやりと庭を眺めていた。

 今日はたくさん歩いたから、気持ちのいい疲労感が体を包んでいた。
 ぽかぽかと温かい春の日差しに眠気をさそわれる。

 少しだけお昼寝をしようかな。

 そう思いながらあくびをかみ殺す。
 うつらうつらと頭を揺らしながらまぶたを閉じた。

 数分のうたた寝のつもりだったのに、気付けば私は横になり深い眠りについていたようだ。
 ぼんやりと目を開けると、もう陽が傾き始めていた。

 ふわぁとあくびをして不思議に思う。
 なんだか背中があたたかいし、重みを感じる。

 なんだろうと首を傾げ、自分の体の前でゆるく組まれた長い腕を見下ろす。
 そして状況を理解した私は跳び上がった。

「た、貴士さん……っ!」

< 112 / 297 >

この作品をシェア

pagetop