俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「みんな綾花さんの書を見て、ぜひお願いしたいと言っているんですよ」

 戸惑う私を見た中村さんは、安心させるように微笑む。

「それから、これよかったら」

 言いながら手に持っていた紙袋を差し出した。

 中には鮮やかな赤色のイチゴ。甘酸っぱい香りに、強張っていた肩から力が抜けた。

「うちの実家で作っているイチゴなんです」
「ありがとうございます。うれしいです」

 明日の朝食に、貴士さんと一緒にいただこう。
 そう思ってから、彼は東京に帰っているのを思い出して、肩が落ちる。

「どうしました?」

 そんな私に、中村さんが不思議そうにたずねてきた。
 慌てて「なんでもないです」とかぶりをふる。

「都築さんはお出かけですか?」

 きっと、いつも停まっている貴士さんの車がないのに気付いたんだろう。

「はい、昨日から一度東京に戻っていて」

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