俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　そう思っていると、居間のほうからジリリリリとベルの音が聞こえてきた。

「ごめんなさい。電話がかかってきたので、また来週来てくださいね」と斗真くんに言って居間へと急ぐ。

　そこにあるのは日本家屋にぴったりのレトロな黒電話だ。
　大きくて重い受話器を持ち上げ耳に当てる。

「はい、葛西です」

　電話口で名乗ると、聞こえてきたのは母の声。

「綾花、元気にしてる？　何度もスマホにメッセージを送ってるのにまったく既読にならないから、じれったくて電話したわよ」

　電話に出た途端苦情を言われ、「ごめんなさい」と頭を下げる。

　一応スマホは持っているけれど、頻繁にメッセージを交わす相手もいないし、普段はあまり持ち歩かない。
　ついつい充電を忘れ、電源が落ちていることもよくある。

　そう説明すると、受話器の向こうの母が「二十四歳の独身女性とは思えない発言ね」とあきれたようにため息をつく。