俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　けれど、綾花に『貴士さんがいないほうがのんびりできてうれしいです』と言われたのを思い出た。

　これじゃまるで片想いだ。
　俺ばかり綾花のことを考えている。
　そう気づいて苦笑した。
　それでもすぐに綾花に会いたいと思う。我ながら、重症だ。

　素直じゃないのに、気持ちを隠すのが苦手な綾花。
　俺のひとことひとことにいちいち反応して動揺する様子が愛おしくて仕方ない。

　すると、ポケットに入れておいたスマホが小さく震えた。
　もしかしたら綾花からの連絡かもしれないと、急いでスマホを取り出した俺は肩を落とす。

　綾花ではなく、渚沙からのメッセージだった。







「あ、貴士ー！」



　渚沙に呼び出され待ち合わせの小さなバーに入ると、もうすでに出来上がった渚沙は俺の姿を見てご機嫌に手を振った。

「いきなり人を呼び出しておいて、もう酔っぱらっているのか」