俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 貴士さんは、かっこよくて知的で、とても素敵な人だった。
 男の人だけどその整った横顔や立ち姿は見とれるほど綺麗で、少し近寄りがたい王子様のような人。

 彼は私の初恋の人だった。
 私は小さな頃からずっと、彼に憧れ続けてきた。

 けれど、その想いを彼に伝えたことは一度もない。
 それどころか、きちんと会話をしたことさえもない。

 彼へ特別な憧れを抱いていると自覚したのは小学五年生のとき。
 その頃、姉と同じ中学に通っていた貴士さんは、よく我が家に遊びに来ていた。

 私の両親が、勉強嫌いな姉の家庭教師になってくれと、成績優秀な貴士さんにお願いしていたらしい。

 貴士さんが我が家に来ると、私はふたりの様子が気になって落ち着かなくなった。
 ひと目でも彼の姿が見たくて、用もないのに何度も廊下を歩いたり、壁越しにふたりの会話に耳をすませたりしていた。

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