俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「そういう商品に込められた想いやストーリーを世界へ向けて紹介し、たくさんの人に興味を持ってもらう。クラウドファンディングで資金を募り、新たな商品の開発や販売ルートを広げ、貴重な技術や伝統を守っていく手助けをできたらと思ってる」
「すごく、素敵です」

 思わずため息がもれた。社会的意義の高い、すばらしい事業だ。

 貴士さんは若くして起業し成功をおさめ、世界を相手に仕事をしている。
 それに姉の渚沙も世界中を旅行して飛び回っている。

 それに引き換え、私の世界はとても狭い。
 毎日書道の練習をして、子供たちに教えるだけ。
 家の中だけで完結してしまう生活。

「貴士さんはすごいですね。私とは大違い」

 そうつぶやくと、貴士さんが首をかしげた。

「綾花だって書道を生業にして、きちんと生活しているだろ」
「生業といっていいのか……」

< 162 / 297 >

この作品をシェア

pagetop