俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「わ、私がですか?」
「ほかに誰がいるんだよ」
「確かにそうですけど……」
戸惑う私を、貴士さんは頬杖をついて眺めていた。
面白がるような意地悪な視線が色っぽくて、鼓動が速くなっていく。
「早く」
こういうときの貴士さんは、絶対に引いてくれない。
観念した私はお皿の上からイチゴをつまみ上げ、貴士さんの口元に差し出した。
貴士さんは顔を傾け口を開く。白い歯が私の持つイチゴをかじる。果汁があふれ形のいい唇をわずかに濡らす。
その間も、黒い瞳はずっと私を見つめたままだった。
ただイチゴを食べているだけなのに、色っぽすぎる……!
私は心の中で勘弁して、と悲鳴を上げる。
貴士さんは濡れた唇を舌で舐めるとくすりと笑った。
私の動揺を見透かすような意地悪な表情だった。
「綾花」
貴士さんに名前を呼ばれ、私は冷静な表情を作りながら「……はい」と返事をする。