俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

「綾花の字がたくさんの人に見てもらえるのは俺もうれしい」

　私が言うと、貴士さんは優しく微笑んだ。
　けれどすぐに表情を険しくする。

「ただ、依頼してきたのがあの男っていうの面白くないけどな」
「そんな」
「そもそも、俺の留守中を狙ってやってくるのが気に入らない。もしまた来たら、カギを開けずにドア越しに対応しろ」

　不満たっぷりの視線に、私は思わず噴き出した。

「どうして笑う？」
「だって、貴士さんがむきになっているから。貴士さんが留守のときに来たのは、たまたまだと思いますよ」

　こんなことで不機嫌になるなんて、まるで子供みたいだ。

　私が肩を揺らしていると、貴士さんは拭いていた食器を置き、こちらに手を伸ばした。
　優しく髪をなで、そのまま私の頭を引き寄せる。

　こつんと額が合わさった。

「一度拒絶されてるんだ。むきにもなる」
「拒絶？」