俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 驚いて目を丸くすると、「あの男も来るんだろ」と貴士さんは不満そうな顔をする。

「お仕事ですから、私ひとりで行ってきます」

 苦笑いしながらそう言った。
 けれど、彼のこの独占欲は、私への愛情ではなく姉に裏切られた反動なんだと思うと、ずきりと胸が痛んだ。









 特産品のブランド化計画の話し合いは役場の中にある会議室で行われた。

 人と話すのが苦手な私は、少しでも落ち着いていられるようにと、お気に入りの灰桜色の結城紬を着て役場へ向かった。

 初めての場所に初対面の人たちだらけの会議。
 最初は緊張したけれど、中村さんをはじめ今回の企画に携わる職員さんたちはのんびりとした田舎町らしく、おおらかで優しい人ばかりだった。

< 171 / 297 >

この作品をシェア

pagetop