俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 どうやら姉は一階に行っていて、部屋には彼ひとりのようだ。

『綾花も一緒に勉強するか?』と誘われた。

 私も貴士さんと一緒に勉強したい。
 少しでも彼と親しくなりたい。
 そう思っているのに、本心とは反対の態度をとってしまう。

 私は無言のまま、首を横に振る。

 すると貴士さんは立ち上がり、私のいるドアのところまでやってきた。
 背の高い彼に見下ろされ、鼓動が速くなっていく。

『顔が赤いけど、具合でも悪いのか?』

 その問いに、私はまた無言で首を横に振り否定する。

『本当に?』

 心配するような視線を向けられ、どうしていいのかわからなくて唇をかんだ。

 ふたりで勉強しているのに、私がいたら邪魔になるかもしれない。
 それに、『明るい渚沙と違って、おとなしい綾花と一緒にいてもつまらない』なんて思われたらどうしよう……。

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