俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 貴士さんへの好意と、嫌われたくないという気持ちの間で揺れていると、瞳が勝手に潤んでいく。

 すると、貴士さんは私の顔をのぞきこんだ。二重の奥にある綺麗な黒い瞳が、まっすぐに私を見つめる。

『泣いてるのか?』

 そう問われ、火が付いたように頬が熱くなった。

 クラスの男の子たちに『泣き虫』とからかわれたのを思い出し、必死に涙をこらえようとしたけれど、焦れば焦るほど瞳はうるんでいった。

『そうやって、泣くなよ』

 あきれたように貴士さんはつぶやく。

『ご、ごめんなさい……』

 こんなんじゃ、貴士さんに嫌われてしまう。
 わかっているのに、焦れば焦るほど涙がこみあげてくる。

『怒ってるわけじゃないから、謝らなくていい』

 そう言いながら、貴士さんはこちらに手を伸ばした。
 長い指が私の目じりをそっとなぞる。

 私は驚いて目を見張る。
 
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