俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 もしかしたら貴士さんは、婚約していたのに違う男の人との駆け落ちを決めた姉を思い出しているのかもしれない。
 そう思うと、胸が痛くなる。

 こうやって私に執着するのは、姉に裏切られた傷がまだ癒えてないからだろう。

「私は、揺らいだりしません!」

 むきになって宣言すると、貴士さんは目を丸くした。

「貴士さん以外の誰に口説かれたって、好きになったりしませんから」
「本当に?」
「本当です」

 後ろから私を抱きしめていた貴士さんは、体を起こしながらこちらを見つめる。

「そうやって断言できるのは、俺を好きだから?」

 問いかける声色は、確信に満ちていた。

「それは、その……」

 なんて答えればいいのか戸惑い視線を泳がせる。

 貴士さんは私の肩を掴むと、ソファの上に押し倒した。

 ぎしりとスプリングがきしむ音がして目を見開く。

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