俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 視界には、背もたれに手を置いてこちらを見下ろす貴士さん。
 その色気に、心臓が跳ねる。

 彼は私の帯締めに手を伸ばし、長い指で器用に結び目を解く。
 しゅるりと音を立て組み紐が抜き取られた。

「な、なんで紐を解いているんですかっ!」
「着物がどういうふうになっているのか興味があるから」

 慌てる私を楽しむように、貴士さんは色っぽい唇の端を引き上げる。
 その間も、指は帯揚げの結び目を解いていた。

「着物の仕組みが気になるなら、いくらでも説明してあげますから、勝手に脱がせないでください!」

 じたばたとあばれる私に、貴士さんはくっくっと楽し気に肩を揺らしながら「冗談だよ」と短く笑った。

 よかった。冗談だったのか。

 ほっと胸をなでおろした隙に、貴士さんは私の背中に手をまわし帯までほどく。

 床の上に帯が落とされた。
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