俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 恋愛経験ゼロの私にとってあんな感覚ははじめてで、どうしていいのかわからず、ただあえぐしかできなかった。

 涙目で貴士さんを睨んだけれど、彼は悪びれるどころか涼しい顔だ。

「あんな声でダメと言われて、止められるわけがないだろ。むしろ、あれだけで我慢した俺の理性をほめてもらいたいくらいだ」
「理不尽……!」

 唇をとがらせて抗議すると、貴士さんはくっくっと楽しそうに笑う。
 その余裕が憎らしくて、私は顔をしかめた。

「貴士さんがいるときは、着物を着るのはやめとうと思います」
「俺が脱がせるから?」

 彼の質問に無言でうなずく。
 ちなみに今は洋服だ。
 スタンドカラーのブラウスに、ひざ丈のスカートという露出の少ない服装に着替えた。

 すると貴士さんは冷蔵庫にもたれていた体を起こし、こちらに近づいた。そして私の背後に立つ。

「言っておくけど、洋服のほうがもっと簡単に脱がせるぞ」
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