俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 もしかして、仕事だって言ったのは嘘で、本当は姉に会うために東京に行ったの? そんな疑念が沸き上がる。

 いや姉と貴士さんは幼馴染なんだから、ふたりで会っていたって別に不思議じゃない。
 けれど、それを秘密にされていたのが悲しかった。

『もし貴士が綾花になにか意地悪をしたら、私がとっちめに行くからいつでも連絡するのよ』
「大丈夫だよ。貴士さんは、優しいから」

 動揺が声に出ないように、必死に平静を装いながらそう言った。

『それならよかった』

 なんの疑問も持たず明るく言った姉に、うまくごまかせたとほっとする。

『アメリカに行く前に、一度そっちに遊びに行くわ』
「え、この家に?」
『なにか問題ある?』

 不思議そうに聞かれ、慌てて「そういうわけじゃないけど」と取り繕う。だけど、心の中は複雑だった。

 貴士さんはまだ姉を愛している。
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