俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 だから、姉と一緒にいる貴士さんを見るのが怖い。

 私に向けるものとは違う、もっと愛情のこもった視線で姉を見つめる貴士さんを想像するだけで、引き裂かれるように胸が痛んだ。

『それじゃあまたね』

 明るく言って電話は切れた。のろのろと受話器を電話に戻すと、チン、という金属音が静かな居間に響く。

 私は電話に手を置いたまましゃがみ込み、しばらく床を見つめていた。
 込み上げてくる涙を、必死にこらえながら。



 





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