俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 温かいお湯に包まれて、自然と長いため息がもれた。

 知らないうちに背中や腕が凝っていたようだ。
 お湯の中で手足を伸ばすと、バキバキと音がなった。

 私は夢中になるとまわりが見えなくなるタイプだから、ひとりだったら食事やお風呂はもちろん、寝る時間まで惜しんで机に向かっていたかもしれない。そんなふうにがむしゃらに打ち込んで、いい書が出来上がるわけがない。

「貴士さんの優しさに感謝しないと……」

 そうつぶやくと、「そんなの気にしなくていい」と返事が返ってきた。

「えっ!」

 驚いてお湯の中で跳び上がる。
 脱衣所を仕切るドアを見ると、くもりガラスの向こうに長身の人影。

 しかも断りもなくドアが開かれる。

「貴士さん、なんで入ってくるんですか!」
「髪を洗ってやろうと思って」
「けっこうです!」

 叫ぶように言って、お湯に顎までつかり腕で体を隠す。

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