俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「俺に優しさに感謝していたんじゃないのか?」

 人の入浴中に勝手に乗り込んでくるという暴挙を働いているくせに、意地悪な笑みが様になっていて、心臓がきゅんと飛び跳ねる。

 いやいや、ときめいている場合じゃない!

「誰もここまでの親切は望んでません!」

「お湯に浸かったままでいいから、頭をこっちに出せ」

「だから、人の話を聞いてください!」

 動揺しまくる私を見下ろし、楽し気に微笑む貴士さん。
 こういう表情の貴士さんが絶対に引いてくれないのは、もう経験上わかっている。

「もう――――っ」

 私は思いきり顔をしかめながら、浴槽のふちに手を置いて頭を貴士さんの方に出した。

「いい子だな」

 貴士さんはご機嫌に言って、私の髪にシャワーでお湯をかける。

「人の髪を洗って楽しいんですか?」

 私は浴室のレトロなタイルの上を流れていくお湯を見下ろしながら聞いてみた。

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