俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「綾花はここのところ無理をしているように見えたから心配していたけど、やっぱり凝ってるな」
「そんなこと、ないです」
「強がるな。気持ちいいだろ?」

 貴士さんは言いながら、私の首から肩をマッサージする。

 特に疲労がたまっている右肩を指圧され、「んっ」と短い声が出た。

「ここか?」
「んんっ、そこ……です」

 浴槽のふちにしがみつきながら、こくこくとうなずく。

「じゃあこっちは?」
「あ……、そこも、気持ちいい……」

 素直につぶやくと、貴士さんの手が止まった。
 どうしたんだろうと顔を上げると、彼は苦笑いを浮かべていた。

「そうやって、色っぽい声を出されると、変な気分になる」
「色っぽい声なんて出してません!」

 慌てて体を起こし否定した私に、貴士さんはいたずらっぽく口の端を引き上げた。

「ずいぶん気持ちよさそうだったから、これからは俺が髪を洗ってやるよ」
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