俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 姉に指摘された貴士さんは、「ぐ……っ」と黙り込んだ。

「たしかに……」

 私も納得してつぶやくと、貴士さんににらまれた。
 その表情がなんだかかわいく見えて、思わず噴き出す。

「なんだか貴士さん、私とふたりのときは大人の余裕があるのに、姉と一緒だと子供っぽく見えます」
「そりゃ、貴士は私に弱みをあれこれ握られているから、余裕なんてなくなるわよね」
「弱み?」
「聞きたい?」

 いたずらっぽく笑った姉に私が真顔でうなずくと、見ていた貴士さんは額に手を当て「勘弁してくれ」とため息をつく。
 それを見て姉は声を上げて笑った。

 貴士さんと姉はとても仲がいいけれど、ふたりの間に漂うのは兄妹や友人のような気安い雰囲気だ。

 お互いに恋愛感情はなかったんだとあらためて実感した。
 胸のつかえがとれ、心が軽くなる。

「そうだ。今日は泊まっていってもいい?」

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