俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 それとは対照的に、貴士さんはものすごい仏頂面だ。背後から黒いオーラが漂っているように見える。

「チャイムをなってから出てくるまでずいぶん時間がかかったけど、もしかして取り込み中だった?」
「あぁ。ものすごく取り込み中だった。いいところを邪魔しやがって」

 不機嫌な表情でうなずく貴士さんに、私は慌ててフォローをいれた。

「そ、そうなの。ちょっとお仕事をしてて。ですよね、貴士さん」

 冷や汗をかきながらそう言うと、貴士さんもしぶしぶうなずいてくれた。

「それにしても、来るなら前もって連絡を入れてくれ。よりによってこのタイミングで押しかけてくるなんて、どれだけ間が悪いんだ」
「あら。綾花にはそのうち行くって電話で言ってあったわよ」
「そのうちじゃなくて、具体的な日時を伝えるのが普通だろ」
「そう言う貴士だって、綾花の家に突然やってきてそのままここに居座っているくせに」

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