俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 今朝別れたときと同じく元気そうな様子に、安堵と涙がこみあげる。

 言葉につまった私が口元を覆うと、貴士さんは持っていたコップを落とした。
 ゴン、という音とともに、入っていたコーヒーがカーペットにこぼれる。

「ああもう。社長、なにやってるんですか」

 米沢さんの苦情に、貴士さんは自分の足元を見下ろし「悪い。手が滑った」と謝る。
 けれどすぐに顔を上げ、まじまじと私を見つめる。

「綾花。どうしてここに?」

 貴士さんと問いかけに、「無事でよかった……」とかすれた声でつぶやいた。

 もし貴士さんになにかあったらと思うと、怖くてしかたなかった。
 貴士さんを失うかと思うと、生きた心地がしなかった。
 本当に無事でよかった。

 勝手に涙があふれだす。
 もうせき止めようがなくて、頬を伝って次から次へと落ちていく。

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