俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「すみません。姉からの電話でパニックになってしまって」

 冷静になって考えると、あんなにも取り乱していた自分が恥ずかしくなる。
 そんな私を見て、貴士さんは優しく微笑んだ。

「いや、泣くほど俺を心配してくれてうれしかった」
「でも、今回はタイミングがよかっただけで、数分ずれていたら貴士さんも巻き込まれていたかもしれないんですよね」

 ここに到着するまでの気の遠くなるような不安な時間を思い出し、背筋が冷たくなった。

「私があの家に住み続けたら、貴士さんには何度もあの距離を往復させることになるんですよね……」
「綾花。まさか俺が心配だから結婚をやめるなんて言わないよな?」

 顔色をかえた貴士さんに「まさか」と首を横に振る。

「私……、貴士さんのそばで暮らしてもいいですか?」
「え?」
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