俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「私はひとりでも平気だって思い込んでいたんですけど、今回のことで思い知りました。できるならずっと貴士さんのそばにいたいです」
「でも、おじい様との約束は……」
「祖父は、私にもっと自由に生きてほしいと思っていたみたいです。あの家は、町に寄贈してたくさんの人が集える場所にしてもらおうと思います」

 私が力強く言うと、貴士さんは手で口元をおさえた。
 そのまま黙り込んでしまった貴士さんに首をかしげてると、私たちの会話を聞いていた米沢さんが、にやにやしながら口を開いた。

「よかったですね、社長。新居が無駄にならなくて」
「新居って、なんですか?」
「おっと、まだ綾花さんは知らないんですね。結婚の了承ももらっていないのに、社長が先走って買ったマンションを」
「米沢」

 貴士さんが威圧感のある低い声で米沢さんの名前を呼んだ。
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