俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
『俺は、本気で好きなんだ。なにがあっても、結婚したいと思っている』

 情熱的なプロポーズの言葉を耳にして、心臓が止まるかと思った。
 いつもより低い声から、彼の真剣さが伝わってきた。

 親同士が決めた政略結婚だと思っていたけれど、貴士さんは本気で姉を愛しているんだ。

 切りつけられるように痛む胸を押さえ、私は必死に涙をこらえた。





 その直後、祖父が亡くなった。
 息を引き取る直前に、あの家と教室を守ると約束した私は、書道を生業として生きていくために田舎の祖父の書道教室を継ぎたいと両親に願い出た。

 祖父との約束を守るために、そして貴士さんを忘れるために、実家を出て祖父の家でひとり、真摯に書と向き合おう。そう決意したのだ。



 それから私は実家と距離を置き、貴士さんのことは考えないようにして暮らしてきた。

 週二回の書道教室と個人レッスン。
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