俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　立ち尽くす私に、斗真くんがじれたようにそう言う。
　なにか返事をしなきゃと思うのに、頭が真っ白になって言葉がでてこなかった。

「綾花にプロポーズをしていたのか？」

　甘く低い声がして、斗真くんが驚いたように後ろを振り向く。

「残念だが、綾花と結婚するのは俺だから諦めてくれ」

　斗真くんに向かってそう言ったのは、私の初恋の人。
　都築貴士さんだった。


「誰だよお前。俺が先にプロポーズしたのに横取りなんてずるい……」

　言い返そうとした斗真くんは貴士さんを見上げ、その姿に圧倒されたように口ごもる。

　なにも言えなくなる斗真くんの気持ちがよくわかる。

　二年ぶりに見る初恋の人は、精悍さと男らしさが増しさらに魅力的になっていた。

　ゆるくウエーブのついた黒髪と、その下にある黒い瞳には大人の余裕と色気が滲んでいて、思わず息をのんでしまうほどのオーラがある。