俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 私はそんな本心を悟られないよう貴士さんから顔をそらし、素っ気なく背を向ける。
 キッチンでコップに水をつぎ、祖父の写真の前に置いた。

 いものように写真に朝の挨拶をしていると、貴士さんも隣にならび「これから一ヶ月、お世話になります」と頭を下げた。

 長身でたくましく男らしい外見の彼が、祖父の写真を見つめ優しい表情を浮かべているのを見て、また心臓が跳ねた。
 こっそり深呼吸をしてなんとか動揺を落ち着かせる。

「今から朝食の準備をしますね」
「軽くシャワー浴びたら、俺も手伝うよ」
「いえ、ひとりで大丈夫です」

 その申し出を断ると、貴士さんは小さく肩を上げた。

 彼が私の横を通り過ぎる。それだけで鼓動が速くなる。

 貴士さんが居間から出ていったのを確認してから、はぁーっと息を吐きだした。



 初恋の人との同居生活は、予想以上に心臓に悪い。



 



「うまい」

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