俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　黙り込んだ私に画面の向こうの米沢さんが首を傾げた。
　そのとき、強く肩を抱かれた。

　驚いて振り返ると、いつの間にか戻ってきた貴士さんが私を抱き寄せ険しい表情で画面を睨んでいた。

「米沢、綾花になにを言った」

　貴士さんが、聞いたこともない低い声を出す。

『いえ、なにも』
「じゃあ、どうして綾花が泣いてるんだ」
「貴士さん。米沢さんはなにも言ってないです。ちょっと目にゴミが入っただけで……」

　慌てて言い訳をすると、彼の視線がこちらに向いた。腕の中の私を見つめ、軽く首を傾ける。

「本当か？」

　瞳の奥をのぞきこまれ、首を縦に振る。
　すると、貴士さんの表情が和らいだ。
　涙がにじむ私の目元を、長い指でそっとなぞる。

「よかった」

　よかったって、なにが？

　貴士さんの安堵したようなつぶやきに、私は首をかしげる。