俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 俺の言葉に、綾花は困ったように眉を下げる。

「そう言われても、難しいです」

 綾花は小さなころから気持ちを素直に相手に伝えるのが苦手だった。
 俺が家をたずねるとすぐに自室に隠れ、こっそりこちらの様子をうかがっていた小さな綾花の姿を思い出し、なつかしさに口元がゆるむ。

「難しくなんかない。相手に好意が伝わるように、愛情をこめて見つめるだけでいい」

 言いながら綾花のほうへ手を伸ばした。
 白く柔らかい頬をなぞり、そのまま顎をつまみあげる。

 さっきシマノさんにしていたように鼻をよせ、至近距離でじっと見つめる。

 驚きで綾花が目を見張る。緊張と動揺のせいか、次第にその目元が潤むのがわかった。
 黒い瞳に透明の涙がにじんで揺れる。その様子が綺麗で、目が離せなくなる。

 顎に触れた指先から、彼女の体温が上がっていくのがわかった。
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