俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　震える呼吸を吐き、眉を下げ、潤んだ瞳でこちらを見つめ返す。

　そのねだるような視線が色っぽくて、体が震えた。
　まるで強い酒を飲んだかのように、鼓動が速くなり体が熱くなる。

　吸い寄せられるように自然と体が動いた。
　首をわずかにかたむけ、顔を近づける。
　お互いの前髪がふれあうくらいの至近距離で、綾花に微笑みかけた。

　綾花は熱に浮かされたようなとろりとした表情で俺を見つめ返していた。
　かわいらしいピンク色の唇は、まるで俺を誘うようにわずかに開かれていた。

　その唇をふさいで抱きしめて押し倒したい。
　そんな欲望が込み上げてくる。

　俺が目を伏せ、顔を傾けると、ゆるく波打つ黒髪がさらりと流れた。
　その間から、こちらをうっとりとした表情の綾花が見えた。

　あと数センチで唇が触れる。
　そう思ったとき、風が庭の木々を揺らした。