俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 その風に乗って、ピンクの花びらがひらひらと揺れながら、縁側に座った綾花の膝の上に落ちてきた。

 その花びらを見下ろした綾花は、ぴくんと肩を揺らした。
 その瞬間、綾花が我に返ったのがわかった。

 慌てて視線をそらし、頬を真っ赤にしながら俺の胸を押し返す。

「わ、私、お昼の支度をしないと……っ!」

 綾花はそう叫んで立ち上がった。
 そんな言い訳をしながらも、激しく動揺しているのがまるわかりだった。

「もう少しでキスができそうだったのに、逃げられた」

 残念な気持ちを押し殺し、からかいを含んだ声で言うと、綾花が跳び上がる。

「な、なにを言ってるんですか!」

 あきらかにふたりともキスを意識していたのに、誤魔化そうとする綾花をじっと見つめた。

「綾花は、俺とキスしたくない?」

 そう問いかけられた綾花が、俺の唇を見ているのがわかった。
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