俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　日課のランニングを終え朝食も食べたのに、まだ寝ぼけているのかな。

「どうかしましたか？」

　首を傾げてたずねると、彼は額に手を当て小さなため息をついた。

「いや、綾花が着物姿だったから……」

　そうつぶやく彼の目元は、少し赤らんでいるように見えた。

「週末は、なるべく和装で過ごすようにしているんです。普段から着物を着ていた祖父の真似ですけど」
「そういえば、俺がはじめてここにやってきた日も、着物を着ていたよな」

　貴士さんは懐かしそうにつぶやく。
　彼がこの家にやってきたのは、先週の土曜日だ。

　ひとりで暮らしていたときは広くがらんとしていたこの家のあちこちに、今ではすっかり彼の気配が馴染んでいる。
　それなのに、まだ一週間かたっていないんだ。なんだか不思議な気分になる。